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映画『Da Capo』、郷愁を刺激する音楽が主役の“聞かせる”作品

2020年09月16日

音楽映画は音楽を登場人物間の話を裏付ける素材として使うことが多い。
しかし『Da Capo(原題:다시 만난 날들)』は、音楽自体が主役の映画だ。劇中の物語は、歌を聞かせ、見せるための背景に過ぎず、主人公たちも俳優が本業ではないミュージシャンたちが演じた。
無名シンガーソングライターのテイル(ホン・イサク)は、自分のアルバムを出したがっているが、現実はインディーズバンドのセッションにすぎない。あてもなく故郷に戻ったテイルは、そこで過去自分が求める音楽をしていたバンド時代のメンバー ジウォン(チャン・ハウン)と、ジウォンが教える中学生たちに出会う。子どもたちが作ったバンド「Destroyer」などからインスピレーションを交わしたテイルは、ジウォンのサポートで未完成のまま残してあった曲を完成することになる。
映画は特別な描写や人物間の大きな葛藤がない。シンガーソングライターとして成功したいテイルの悩みや、初々しい中学生バンドの大会挑戦記という二つの軸で物語は展開されるが、さほど新しい物語ではない上に、強弱の調節がなく描写自体は平面的に感じられる。映画の中の人物間の葛藤も、すべて観客が予想可能なものばかりだ。
平面的な描写に立体感を与えるのは、主演で音楽監督を務めたホン・イサクが作った楽曲の数々だ。劇中には計18曲が登場するが、このうち「Destroyer」の曲「分からない(原題:모르겠다)」以外すべてがホン・イサクの手から誕生した。映画に挿入された楽曲は作品の全般的な雰囲気と混ざり合い、なぜか郷愁を刺激する。
音楽が中心ではあるが 場面と場面を繋ぐ役割はやや不十分だ。音楽は音楽のまま、物語は物語のまま別々に存在しているかのようだ。
ミュージシャンが主演を務めたという点、物語よりは音楽が中心になるという点で映画『ONCE ダブリンの街角で』(2007)が頭に浮かぶ。物静かでどことなく寂しい情緒まで似ている。
ホン・イサクは「ユ・ジェハ音楽コンテスト大会」出身で、オーディション番組に出演したことで大衆から注目を集めた。ジウォンを演じたチャン・ハウンも本業は俳優ではなくギタリストで、劇中華麗なギターの実力を見せている。
『Behind the Dark Night』(2017)で「第21回富川(プチョン)国際ファンタスティック映画祭」で作品賞を受賞したシム・チャンヤン監督の2作目の長編映画だ。
映画『Da Capo』は今年の「第16回堤川(チェチョン)国際音楽映画祭」のオープニング作品に選ばれ、韓国では10月24日に公開される。

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