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映画『ユン・シネが消えた』、いざこざを繰り返す母と娘が“本物”の人生を見つけるロードムービー

2022年05月27日

シン・スニ (オ・ミンエ)は20年間、歌手ユン・シネのものまね歌手“ヨン・シネ”として生きてきた。彼女にとってユン・シネは単純な生計手段ではなく、人生の大半だった。ユン・シネとヨン・シネが一緒に立つ夢のステージが繰り広げられる直前、他の控え室にいたユン・シネが突然行方をくらました。
シン・スニの娘チャン・ハダ (イ・ジュヨン)はネット放送「チャンハTV」に夢中になって暮らしている。本名より“チャンハ”という名前がより馴染みのある彼女にもインターネット放送はただ星風船 (投げ銭)を稼ぐ手段ではない。別れたボーイフレンドを呼び出して隠しカメラを撮り、自ら“かまってちゃん”であることを否定しない。
かまってちゃんが他人から関心と愛情を受けたがる欲求から始まるなら、チャンハに足りないのは母親の愛情だろう。
娘よりユン・シネが優先の母親と関係は気まずくなる一方。ヨン・シネとチャンハはお互いに違う世界に住む。映画はヨン・シネとチャンハTVというそれぞれの世界も、自分自身の人生だと見ることができるのか疑問を提起する。
ユン・シネの失踪にヨン・シネは絶望する。しかしチャンハにとっては星風船を集めるチャンス。ヨン・シネとチャンハは一緒にユン・シネの行方を探しに出かける。同じ車に乗っているが、目的はお互いに違うので言い争うしかない。映画は憎い振る舞いだけ選んでする娘と人生の意味を失う危機に瀕した母親のロードムービーの形式を帯びている。
映画にはヨン・シネ以外にも“ウン・シネ”と“カシネ”など他のものまね歌手たちが登場する。偽物であることを隠さず、むしろ前面に出す彼女たちの人生は偽物なのか、本物なのか。
ヨン・シネが病室に座り、伴奏なしで一人歌う場面は映画のクライマックスであり、メッセージ性を含む。
“抜け出したい/今は抜け出したい/疲れてしまった私の魂/少しずつでも/抜け出したい/あなたから抜け出したい”ヨン・シネの独唱は観客がいぶかしく思うほどに長く続く。
映画はお尻を振りながらトゥワーキングを踊るイ・ジュヨンのとぼけた演技で、軽くハツラツとした雰囲気を続ける。しかし大詰めを迎え、人生に対する重みのある質問を投げかける。
キム・ジンファ監督は最近、試写会後の記者懇談会で「編集を終えてからこの物語は結局、本物に対する話であり、本物は結局多様性から見出すことができるという結論に到達した」としながら、「誰の人生も偽物はない。本物は多様な人生を認めるところから出てきて、その多様さが本物だと語る映画」と述べた。
映画には実際の人物ユン・シネが出演し、かなり長いセリフを無理なく消化する。ユン・シネは最近、あるテレビ番組で「歌が歌詞をすべて覚えるのに、セリフは覚えたと思っても、いざ演技をすると思い出せなかった」とし、「『俳優は誰でもできるわけではないのだな』と思った」と感想を伝えた。
ユン・シネ独特の“腋のポンピング”の動きをマネしながらヨン・シネを演じたオ・ミンエは、今月初旬閉幕した「第23回全州 (チョンジュ)国際映画祭」で俳優賞を受賞した。
映画『ユン・シネが消えた (原題:윤시내가 사라졌다)』は6月8日に韓国で公開され、上映時間は107分、年齢制限は12歳以上観覧可。

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